【第5回】「映画『シン・ウルトラマン』の編集マンが語る 〜映画編集の流れについて〜」が開催されました!

第5回 PERCHスクールは「映画『シン・ウルトラマン』の編集マンが語る 〜映画編集の流れについて〜」と題して開講されました。

庵野秀明氏と連名で、栗原洋平さんが、第46回日本アカデミー賞優秀編集賞を受賞されました!
おめでとうございます!!!
日本アカデミー賞公式サイト
映画『シン・ウルトラマン』公式サイト

講師としてご登場いただいたのは映画編集の栗原洋平さんです。
阪本順治監督の『魂萌え!』や庵野秀明氏が総監督を務めた『シン・ゴジラ』、題目にもある『シン・ウルトラマン』といった数々の映画製作に参加されています。最近はPERCHメンバーであるK-relationsとともに、メタバース、VR空間を使った映画製作にも取り組まれています。

身振り手振りをまじえて解説する栗原さん

最初にお伝えしておきたいのは、栗原さんのレクチャー形式(パフォーマンス?)がユニークだったことです。一般的なパワーポイントや紙の資料ではなく、事前にスライドプレゼンテーションを映像に落とし込んでおいて、ご本人が映像の再生/一時停止を繰り返しながら完全原稿を読み上げていくというスタイル。ご専門である映像編集のテクニックでレクチャー資料も作ってしまったわけです。渋いやり方だなと思いました。

さて、私たちは出来上がった映画を楽しんで観ていますが、完成するまでには多くの人が様々な作業を行って作り上げていきます。レクチャーでは、映像製作における各担当部署の作業内容、製作の流れなど、基本的な製作の枠組みを見ながら、主に編集部の仕事について解説してくださいました。

映画製作の流れ

今回のレクチャーの内容は映画製作の技法というよりも、撮影された素材–––映像や音声などをどのように管理、整理していくのか、なぜそれが重要なのかという点にフォーカスが当たっていました。栗原さん曰く、映画製作には決まった答えがなく、「いかに悩むことができるか」に醍醐味があり、その醍醐味を味わうためにもっとも重要なことが素材の管理と整理であるとのことでした。ものづくりに携わっている人にはビビッとくる言葉ではないでしょうか。

編集部の仕事の一つである素材管理の重要性がとてもよく伝わってきたのは、『シン・ウルトラマン』での編集作業についてのお話でした。

『シン・ウルトラマン』の編集作業では、事前に特別な準備が必要となるそうです。同一の芝居を複数のアングルで撮影したサムネイル静止画の一覧を紙出力しておき、その一覧を見ながらどのアングルが面白いのかを判断して、さらに映像でも確認し、場合によっては前後の映像の流れに入れ込んで決めていくというもので、庵野氏はこの作業をすべてのカットで行うとのことでした。映画1本のカット数は、膨大なものでしょうから、とてつもない労力と時間がかかることがわかります。(ちなみに、編集の手前の工程となる撮影のエピソードとして、『シン・ウルトラマン』では常に2〜5台のカメラが回っており、iPhone含め10台の場合もあったとか。)

映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント @shin_ultraman【#シンウルトラマン 制作回顧録 VFX編】より
©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

そしてこの一連の編集作業こそ、映画製作の醍醐味である「いかに悩むことができるか」という問いかけにかかわっているところだと言えるでしょう。

栗原さんは、編集部において、演出やその他の作業効率を考慮して、何の素材を受け取り、どれを使用したかを把握する素材管理が最も重要だと述べています。もし編集部の映像と音声の整理が不十分であったならば、編集作業は滞り、最適な判断ができなかったかもしれません。 そうなれば『シン・ウルトラマン』はここまで素晴らしい映画にならなかった可能性もあります。
編集部の素材管理が、作品づくりのハブとして、クリエイティブの核心を支えていると言っても過言ではないでしょう。素材、情報データの整理と管理は、どんな仕事にももれなくついてくる作業であり、筆者は異なる分野で仕事をしていますが、とても刺激を受け勉強になりました。

栗原さん、充実のレクチャーをありがとうございました。

(ヨノキ)

K-relationsとともに現在進行中のメタバースを使った映画の製作風景

★映画『シン・ウルトラマン』のBlu-ray&DVDが発売されます!

シン・ウルトラマン
Blu-ray&DVD 4月12日発売
Blu-ray2枚組:5,280円/DVD2枚組:4,180円
発売元:円谷プロダクション 販売元:東宝
©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

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