【第11回】「『陳腐化 obsolescence』について」が開催されました。

2023年4月18日(火)、芸術学およびアーカイブ理論が専門の研究者である上崎千さんをお招きしました。

PERCHスクールが10回を越えたのを機に、初めてPERCHに所属していない専門家の方にお越しいただきました。
上崎さんは、校長の木原(梅ノ木文化計畫)の大学時代からの友人であり仕事仲間とのことで、今回のスクールが実現しました。ちなみに、大の自転車好きで自転車を自分で組み上げしょっちゅう遠乗りしており「できれば自転車になりたい」と言って憚らない方で、肩書欄には芸術学、アーカイブ理論とともに「サイクリング」と入っていました(笑)。

さて、今回のテーマはズバリ「芸術とは何か」。

文芸批評家で哲学者のヴァルター・ベンヤミン(1892〜1940)の『模倣の能力について』、小説家のフランツ・カフカ(1883〜1924)による『プロメテウス』というテキストを参加者と一緒に読みながら、芸術作品とは何なのか、芸術家とは何者かについて議論がなされました。

タイトル『「陳腐化 obsolescence」について』にある「陳」と「腐」の言葉の意味を分析しながら、展示(=陳列)や美術館、博物館が所有する事物(ミュージアム・ピース=過去の遺物=陳腐化したもの)の考察にまで至りました。

上崎さんのお話は非常に専門的でしたが、芸術分野に横たわる理論的な問題を垣間見ることができました。今日の芸術作品は20世紀を経て大きく変貌を遂げていると言います。今度美術館やギャラリーで芸術作品に出会ったら、頭の片隅に今回の言葉を置きながら鑑賞したいと思います。

ところで、参加者には事前に『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のワンシーンが送られて来ており謎でしたが、「陳腐化」の効用を知ったいま、味わい深いやりとりに感じています。

Panama Hat: Small world, Dr. Jones!
(パナマ帽の男:世間は狭いな、ジョーンズ博士!)

Indiana Jones: Too small for two of us! 
(インディー・ジョーンズ:私たちには狭すぎるんだ!)

Panama Hat: This is the second time I’ve had to re-claim my property from you!
(パナマ帽:お前から私のお宝を取り返すのはこれで二回目だぞ!)

Jones: That belongs in a museum!
(ジョーンズ:それはミュージアムの所蔵品だ!)

Panama Hat: So do you!
(パナマ帽:お前もな!)

—Indiana Jones and the Last Crusade (1989)

上崎千さん、ありがとうございました!

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