【第6回】「『オーディオ・ビジュアル アート入門』 -楽曲の持つ世界観を多面的に映像化してみる-」が開催されました!
今回のPERCHスクールは「『オーディオ・ビジュアル アート入門』 -楽曲の持つ世界観を多面的に映像化してみる-」。
講師としてご登壇いただいたのは、主にライブコンサートやイベントのステージ映像などを制作している株式会社ウパンの代表 守崎梢子さん。同社の植木亜季子さんと佐藤凪さんも応援に駆けつけ、ウパンメンバー総員でスクールを盛り上げます。
開幕早々暗転し、ウパンさんオリジナルのオープニング映像で開始します。講師の紹介と共にタイトルが映し出され、いつもと少し違う雰囲気。
ワクワクとドキドキが止まりません!参加者の皆さんも興味津々な表情を浮かべています。
ライブやイベントの演出映像のディレクション制作を手がけ、その他ミュージックビデオの映像ディレクションなどと幅広く活躍(左から佐藤凪さん、植木亜季子さん、守崎梢子さん)
「オーディオ・ビジュアルアート」とは別名「視聴覚アート」とも呼ばれ、かつては絵画や彫刻など「視覚」を中心とした表現作品、音楽のような「聴覚」を中心とした表現作品を掛け合わせた「芸術表現」です。
まずはその歴史を学ぶべく、音楽番組の代名詞的存在となった「MTV」の誕生から順を追って説明。MTVはロック音楽を専門に24時間生放送をする1981年開局のアメリカの有線テレビ局で、当時のミュージックビデオの影響は大きく、「この時代にどうしてここまで細密に映像と音声の同期ができたのかが不思議」と講師は言います。
続けてライブステージにおける映像演出についても、はじまりである1960年代から現代にわたって解説していきます。
当時の映像とともにライブステージにおける映像演出の歴史を解説する講師
技術の進歩により、1990年代からクラブミュージックのシーンでアーティストなどの後ろに流れる映像を表現するVJ(ビジュアルジョッキー)が活躍。近年ではスマートフォンや専用機器、アプリを用意するだけでアーティストが目の前にいるかのような臨場感溢れる、VRライブ(バーチャルライブ)と呼ばれる演出も徐々に浸透しているそうです。
そもそも「VJって何?」という疑問を解決すべく、講師は「VJ」と「ライブ演出」について比較しながら分かりやすく解説してくれました。
「ライブ演出」はイベントなどの公演前から計画的に作られたものに対し、「VJ」はフロアの盛り上げを常に先読みし、元々用意していた映像素材をその場で組み合わせながら進行形で作り上げていくという即興のもの。
VJは映像テクニックのみならず、その場の空気を汲み取る判断力と瞬発力が鍵となってきますね。
このようにオーディオ・ビジュアルアートの歴史を辿ったところで、講師から課題が発表されます。
「課題曲をもとに映像案を作ってみよう!」
そうです!サブタイトルの「楽曲の持つ世界観を多面的に映像化してみる」とは、このヒントだったのです。YOASOBIの「三原色」を課題曲として、参加者一同にいくつかの課題を課していきます。
といっても、実際に0から映像を作るわけではありません。
講師がクライアントからの要望を想定した、17秒の映像作品を何パターンかに分けて用意。参加者は各課題を基に、「こうしてほしい」「ああしてほしい」といったイメージをオーダーするクライアント側のポジションを疑似体験をします。
それでは実践!
クライアントから「春夏秋冬のイメージで作って」というオーダーを想定し、「ウパンが作ったらこのような感じ」といった、季節ごとの映像素材を組み合わせた映像作品をウパンさんに4パターンご用意していただきました。
実際に作品をお見せする前に、春夏秋冬どの季節を連想したのか、クライアントの立場となった皆さんにオーダーを求めます。それぞれ違ったオーダーに対し、ウパンさんは季節ごとの作品を次々と披露していきます。
目が離せない一同
季節ごとに違った景色、季節感を表す色合いや空気感など、映像は全く違うのにも関わらず、どれも音楽に対して違和感のない、計4つの作品が出揃いました。1つずつ作品を順に再生していただきましたが、全てに説得力を感じます。この調子で講師は次々と課題を出題。
次は「正方形の画面に合う幾何学アニメーション」や「サムネイルから合いそうなものを選んでみよう」などなど・・・なぜこの選択肢を選んだのか、クライアント側の皆さんに選んだ答えとその理由を聞き出し、映像を披露しながら進行していく、楽しみが尽きないワークショップが繰り広げられていきます。
これだ!と思った選択肢にすかさず挙手していく皆さん
また、過去の事例からはクライアントの中に「良い感じに作っておいて」といった、ざっくりとした要望が”よくある”とのこと。終盤では、このよくあるオーダーすらも想定した、ウパンさんならではの作品を複数パターン披露していただきました。
並べられた合計13パターンの映像作品
同じ音楽でも、世界観が全く違うことがサムネイルから伝わります。曲のタイトルや歌詞、テーマや曲調など一つひとつの要素を映像作品に落とし込み、どの作品にも意味を持たせるこの手法は、どのクリエイティブ業界でも重要視されるもの。
筆者はウパンさんの作った多彩な作品を見て、音楽1つで表現できることは無限大だと実感しました。また、今回のレクチャーではどの要望に対しても提案をし続け、「答え」のない世界で試行錯誤を繰り返し、唯一無二の作品を作り上げることの難しさと共に楽しさを教えてくださいました。
ウパンの皆さん、素晴らしいスクールをありがとうございました!
(MOEKA⦅新人研修中⦆)